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ICOMOSとは?
歴史背景と活動の目的
イコモスとは、国際記念物遺跡会議(ICOMOS/ International Council on Monuments and Sites)のことで、文化遺産保護に関わる国際的な非政府組織(NGO)です。1964年にユネスコの支援を受けヴェニスで開かれたIInd International Congress of Architects and Technicians of Historic Monuments (第2回歴史記念建造物関係建築家技術者国際会議)で、記念物と遺跡の保存と修復に関する国際憲章(一般にはヴェニス憲章の名で知られています)が採択されました。これを受け1965年にイコモスが設立されました。
人類の遺跡や歴史的建造物など文化遺産の重要性を認識し、それらを保存し、継承していこうという行為は、19世紀以来世界の多くの国で続けられてきました。しかし、そのような遺産の保存のための国際組織が構想されるようになったのは、第2次世界大戦後のことでした。その後20年の準備期間を経て1965年6月クラクフ(ポーランド)でイコモスの第1回総会が開かれました。2007年現在では参加国約110ヶ国を数え、各国にそれぞれの国内委員会を組織し、文化遺産保存分野の第一線の専門家が様々な活動を行っています。
1972年のユネスコ総会での世界遺産条約採択後、イコモスはユネスコをはじめとする国際機関と密接な関係を保ちながら、世界文化遺産の保護・保存、そして価値の高揚のための重要な役割を果たしてきました。文化遺産保護の原理、方法論、科学技術の応用の研究などを続けています。またユネスコの諮問機関として、世界遺産登録の審査、モニタリングの活動を続けています。
イコモスの活動と目的
- 世界各地の保存の専門家を集め、保存科学の情報についての国際交流を行うこと
- 国際社会に高度な専門家のネットワークを設けること
- 保存のための原理、方法論、科学技術に関する情報の収集、評価と普及につとめること
- 国内や国際機関と協力し、保存技術の発展のための専門家のための情報センターを設立すること
- 保存、保護そして価値高揚のための原理、方法論、科学技術応用、発展に関する国際条約の実行につとめること
- 世界的なレベルで保存専門家のトレーニング事業のための組織・活動に参加すること
日本イコモス国内委員会は、日本国内のイコモス会員が組織する機関として、これらの目的を果たすための、国際的ネットワーク活動の拠点として、活発な活動をおこなっています。
ICOMOS規約
どんな仕組みですか? イコモスの組織
イコモスの本部はパリにおかれ、会長(1)、副会長(5)、事務局長(1)、財務局長(1)からなる本部執行部Bureauがあります。運営は下記の組織が行います。
- 総会 General Assembly:
- 3年毎に、7,000余名の世界中のイコモス会員は、総会並びに同時に開催される国際シンポジウムヘの参加を要請されます。総会では、1カ国が18票ずつ投票権をもち、執行部(8名)と執行委員会メンバー(12名)を選出します。
- 諮問委員会 Advisory Committee:
- 国内委員会及び国際学術委員会(ISC)委員長は、イコモスのプログラム運営について審議するため、年1回諮問委員会を開きます。
- 執行委員会 Executive Committee:
- 本部では、執行部に加え、総会で選出された執行委員(Members of the Executive Committee, 最大12名)と協力委員(Co-opted Members, 最大5名)が、執行委員会を組織し、イコモスの日常的活動を支えています。
現在の執行部と執行委員会の構成は、委員長President (1)、事務局長Secretary General (1)、財務部長Treasurer General (1)、副委員長Vice Presidents (5)、執行委員Members of the Executive Committee (11)、協力委員Co-opted Members (5)、名誉委員長Honorary Presidents (2) の計26名です。 - 本部事務局 Secretariat:
- 事務局及び付属ドキュメンテーションセンターは、事務局長の指揮のもとに、専属の事務局スタッフによって運営されています。
- 国際学術委員会 International Scientific Committees:
- イコモスの活動として文化遺産保存に関する28分野ごとの国際学術委員会があります。詳細は以下の活動分野の通りです。
- 国内委員会 National Committees:
- 保存分野の専門家は、イコモスの国内委員会を通じて、イコモスの活動に貢献し、国内でも様々な事業に参加しています。当初、世界25ヶ国からの参加によって結成されたイコモスは、2007年現在では参加国約110ヶ国を数え、各国にそれぞれ国内委員会を組織し、文化遺産保存分野の第一線の専門家が様々な活動しています。国内の文化遺産保存技術を高め、様々な情報を収集・交換し、後継者への技術的訓練を行う一方、各国の委員会と協力して、世界文化遺産の保護のための国際協力活動を担っています。
どんな分野の活動がありますか?
世界での活動と国際学術委員会International Scientific Committees (ISC)への参加について説明いたします。
イコモスの国際執行委員会(Executive Committee)に、岡田保良がメンバーとして選出され、また諮問委員会(Advisory Committee)には前野まさる委員長が参加しています。 この他、イコモス会員は28の国際学術委員会(ISC)を通じて、専門分野ごとにも活動しています。これら委員会は、特別なテーマをもち活動しており、日本イコモスからも複数の委員会に参加しています。
→詳しくは、ICOMOS(本部)のウェブサイト、および「国際学術委員会」をご覧下さい
ドキュメンテーションセンターとは?: 資料の保存と管理
パリのイコモス本部には、世界中の文化遺産に関するドキュメンテーション・センター(Documentation Centre)が付置されています。ユネスコ及びICOM(世界博物館会議)の協力によって、センターは世界のすべての地域に存在する記念物と遺跡、そして保存・保護に関する分野全般の資料を備えています。センターには、独自に集めた2万点以上に及ぶ資料は、図書データベースに収められ、イコモスの専門家と関連機関に開かれています。電話や電子メールでも連絡でき、また平日には、資料検索・収集等のサービスも受けられるよう、一般公開もされています。イコモス本部並びにドキュメンテーション・センターの連絡先は、以下の通りです。
ICOMOS International Secretariat & Documentation Centre
40-51 rue de la Federation, 75015 Paris - France
TEL 33-1-45-676770 FAX.33-1-45-660622
E-mail: centre-doc-icomos@unesco.org
WebSite: http://www.international.icomos.org
イコモスはどのように運営されていますか?: 会員とは
会員が収める会費がイコモスの運営経費です。また、文化遺産保護の寄付金・補助金・調査研究費用なども、イコモス財源となります。
会員には、以下の種類があります。
- 個人会員
- 文化遺産の保存等に関する専門家
- 団体会員
- 文化遺産の保存にたずさわっている団体や、それらを所有あるいは管理している団体
- 維持会員
- イコモスの目的や活動に賛同し、国際協力を通じて文化遺産の保存に貢献しようとする個人や団体
- 名誉会員
- イコモス総会で特別に承認された個人
イコモスと「ヴェニス憲章」
記念物保存に関する国際機関を設置しようという構想は、1961年、ユネスコ本部で開かれた第8回国際記念物委員会で生まれました。これを受けて、1964年、ヴェニスで開催された第2回歴史記念建造物関係建築家技術者国際会議では「ヴェニス憲章」が採択され、この憲章の精神を国際的に実現していく組織として、イコモスを設立することが決定されました。ユネスコの第13回総会では、この決定にもとづき、補助金の支出が決められ、イコモスが1965年に設立されました。このようにイコモスの基本精神を示すものとして「ヴェニス憲章」は、設立に先だって承認されています。
「ヴェニス憲章」にはおよそ5つの事項が述べられています。
- 歴史的記念物の概念
- 歴史的記念物は単体としてだけでなく、群としても考えられなければならないこと
- 保存の概念
- 記念物を保存するために、建物に新しい用途を見いだすことの重要性と、周囲との歴史的関連性を重視すべきこと
- 復原について
- 復原は推測がはじまるところでとめられなければならないこと、また記念物が経てきた歴史的変化を尊重した復原がなされなければならないこと
- 発掘について
- 発掘は専門家の手によって行われるべきであって、遺跡を改変してはならないこと
- 公表について
- 記念物に対する調査、発掘、復原等の活動は、記録され報告されなければならないこと
イコモスはこの「憲章」を基本に据えつつ、新しく現れる課題に対して専門的な解決を与えながら、その活動を続けています。「ヴェニス憲章」の精神は、1972年の世界遺産条約に受け継がれ、日本も1992年にこの条約を批准し、すでに10の世界文化遺産が登録されています。
(2007年6月更新)